A-01 始まり 素晴らしい住環境

1985年3月A日

パース,郊外,道路

 西オーストラリア州の州都パースのメインストリート、セントジョージズテラス(St. George’s terrace)からバスに乗って、Kwinanaフリーウェイをまっすぐに南へ、わがホームステイ先へと帰る。
 秋の始まりを感じてもおかしくないこの南半球の町パースの3月、今日の最高気温は摂氏33度、依然として夏真っ盛りである。
 20分後バスを降りて、ホームステイ先のニコルズ家へと向かう。時刻は午後4時20分。見上げると、空は信じられないくらい青くそして高い。両手を広げると、後ろから風が吹いてきて、上空彼方まで吸い込まれていきそうな錯覚に襲われる。
 このパース郊外の家並の整い具合は、まったく素晴らしいの一語につきる。バス停からニコルズ家まで約150メートル。その間、道の両側に20軒弱ほどの家が立ち並んでいるが、そのたたずまいは日本ではちょっと見られないそれである。
 昨年行ったアメリカの郊外の街並みによく似てるが、それらとここが違うのは穏やかさだ。アメリカではどこにいても身の危険を考えないといけないが、ここパースではそのようなことは考える必要がない。
 各家庭それぞれが趣向をこらした外観を持ち、前庭は芝生だけのもの、中に小花を植え込んだもの、亜熱帯植物で覆われたもの等々。この通りは、パース郊外のごくごく当たり前の住宅街の一つに過ぎないが、ウサギ小屋の国に26年と11ヶ月もの間育った者の目には、ここが超高級住宅街に見えてしまう。
 このニコルソン家に住み始めて約1週間、申し分ない快適な生活を送らせてもらっている。英語学校の紹介でお世話になることになったが、生まれて初めて異国の地での生活を始めたばかりの自分にとっては、ラッキーなスタートといえそうだ。

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